
パスワードだけでは守りきれない、という話は聞くものの、二段階認証を設定するのは面倒に感じます。実際には、最初の設定に数分かかるだけで、その後の手間はほとんど増えません。むしろ、パスワードを盗まれても被害が出ない状態を作れる点で、割の合う対策です。
二段階認証とは何をしているのか
ログインのときに、パスワードに加えてもう一つの確認を求める仕組みです。もう一つの確認には、いくつかの種類があります。
- ショートメッセージ … 携帯電話の番号あてに数字が届く
- 認証アプリ … 専用のアプリに30秒ごとに変わる数字が出る
- 端末の承認 … 手元のスマートフォンに「本人ですか」と確認が出る
- 物理キー … USBなどの機器を挿して認証する
どれを使っても、パスワードだけを知っている相手はログインできなくなります。パスワードが流出しても、そこで止まる。これが最大の効果です。
どれを選べばいいか
手軽さで選ぶならショートメッセージですが、安全性では認証アプリのほうが上とされています。携帯電話番号は、手続きの隙をついて他人に乗っ取られる手口が知られており、その場合はメッセージも相手に届いてしまうためです。
とはいえ、何も設定しないよりはショートメッセージでも大きく前進します。まずは使えるものから始めて、慣れてきたら認証アプリに移す、という順番で構いません。
優先して設定する順番
すべてのサービスに一度で設定しようとすると、途中で力尽きます。守る価値の高いものから順に進めます。
最初はメールです。メールを乗っ取られると、他のサービスのパスワードを再発行されてしまうため、被害が全体に広がります。次に、銀行やクレジットカード、決済アプリ。そのあとに、通販サイトやSNSと進めます。
設定するときにやっておくこと
設定の途中で、回復用のコードが表示されるサービスがあります。バックアップコード、リカバリーコードといった名前で、10個ほどの数字や文字列が並びます。これは、端末を失くしたときの最後の逃げ道です。
画面の写真を撮って端末に残すだけでは不十分です。その端末を失くしたときに一緒に消えるためです。紙に印刷するか書き写して、通帳や保険証券と同じ場所に保管します。
あわせて、二つ目の確認手段を登録できるサービスなら、登録しておきます。認証アプリと予備のメールアドレス、というように二本立てにしておくと、片方が使えなくなっても詰みません。
機種変更で詰まらないために
二段階認証で最も多い失敗が、機種変更のときに認証アプリを移し忘れることです。新しい端末に同じアプリを入れても、中の情報は自動では移りません。
移行の手順はアプリによって違いますが、古い端末が使えるうちに操作する点は共通しています。端末を初期化したあと、下取りに出したあとでは間に合いません。機種変更の予定が決まったら、認証アプリの移行を最初にやると決めておくと安全です。
最近は、アカウントに紐づけてクラウド経由で移せるアプリも増えています。使っているアプリにその機能があるかどうかを、一度確かめておくと安心です。
面倒さを減らす工夫
毎回コードを入力するのが煩わしいと感じるなら、信頼した端末として記憶させる設定を使います。自宅のパソコンや自分のスマートフォンでは確認を省略し、見慣れない端末からのログインのときだけ確認する、という形にできます。
ただし、共用のパソコンやネットカフェの端末では絶対に記憶させません。あとから他人がログインできる状態が残ります。
通知が来たら中身を見る
設定していると、身に覚えのないログインの確認が届くことがあります。これは、誰かがあなたのパスワードでログインを試みたという合図です。承認せず、その場でパスワードを変更します。
何度も届く場合は、承認させようとして繰り返し送っている可能性があります。押してしまわないよう、通知を消して、パスワードの変更を先に済ませます。
家族の分も見ておく
自分の設定が済んだら、家族のアカウントも確かめておくと安心です。とくに、メールを乗っ取られた場合の影響は本人だけにとどまりません。連絡先に載っている人へ、本人を装ったメッセージが送られることがあります。
離れて暮らす親の端末なら、帰省したときにまとめて設定するのが現実的です。回復用のコードは印刷して、本人が分かる場所に置いておきます。設定したことを本人に伝えておかないと、ログインできなくなったときに慌てます。
まとめ
メール、金融、決済の順に設定する。回復用コードは紙で保管する。機種変更のときは認証アプリを最初に移す。この3つを押さえておけば、二段階認証は面倒な仕組みではなく、パスワードが漏れても平気でいられる保険になります。




