パスワード管理の基本|使い回しを防ぐ方法

インターネットを使ううえで、パスワードはあなたの大切な情報を守る最後の鍵です。買い物サイト、SNS、ネットバンキング、メールなど、私たちは数えきれないほどのサービスにログインしています。そのたびにパスワードを考えるのは大変で、つい同じものを使い回してしまいがちです。けれども、その「使い回し」こそが、思わぬトラブルを招く大きな落とし穴になります。ここでは、パスワードを安全に管理するための基本的な考え方を、できるだけやさしく解説していきます。

パスワード使い回しのリスク

複数のサービスで同じパスワードを使っていると、どこか一つのサービスから情報が漏れただけで、すべてのサービスが危険にさらされます。たとえば、利用していたあるサイトが攻撃を受け、メールアドレスとパスワードの組み合わせが流出したとします。悪意のある人は、その同じ組み合わせを別のサイトでも次々に試します。これは「パスワードリスト攻撃」と呼ばれ、実際に被害が後を絶ちません。

「自分の情報なんて狙われない」と思うかもしれませんが、攻撃は人手ではなく自動的なプログラムで大量に行われます。つまり、誰のアカウントであっても無差別に試されてしまうのです。使い回しをやめるだけで、被害が一つのサービスだけにとどまり、ほかへの連鎖を防ぐことができます。これが、パスワード管理でいちばん大切な第一歩です。

強いパスワードの作り方

強いパスワードの条件は、「長いこと」と「推測されにくいこと」の二つです。文字数は最低でも十二文字以上を目安にし、英大文字・小文字・数字・記号を組み合わせると、より破られにくくなります。逆に、誕生日や電話番号、名前、「password」や「123456」といった単純な文字列は、真っ先に狙われるので避けましょう。

覚えやすく強いパスワードを作るコツとして、好きな言葉をいくつかつなげて長い「パスフレーズ」にする方法があります。たとえば意味のある単語を三つ四つ組み合わせ、間に記号や数字を混ぜると、自分には覚えやすく他人には推測しにくいものになります。大切なのは、サービスごとに違うパスワードを設定することです。すべてを記憶するのは難しいので、次に紹介する管理ツールの力を借りるのが現実的です。

パスワード管理ツールの活用

パスワード管理ツール(パスワードマネージャー)は、たくさんのパスワードを安全に保管し、必要なときに自動で入力してくれる便利な仕組みです。あなたが覚えておくのは、ツールを開くための「マスターパスワード」一つだけ。あとはツールが、サービスごとに異なる複雑なパスワードを作って記憶してくれます。

多くのツールは、パソコンとスマートフォンの両方で使え、入力の手間も省けます。無料で使えるものから有料のものまで幅広くあり、ブラウザに標準で備わっている保存機能もその一種です。導入する際は、提供元がはっきりしている信頼できるサービスを選びましょう。そして、要となるマスターパスワードだけは特に長く強いものにし、絶対に他人に教えないことが肝心です。万が一に備えて、ツールが対応していれば後述の二段階認証も合わせて設定しておくと、より安心です。

二段階認証の基本

二段階認証とは、パスワードに加えて「もう一つの確認」を求める仕組みです。たとえばログイン時に、スマートフォンに届く確認コードを入力したり、専用アプリに表示される番号を使ったりします。これにより、たとえパスワードが盗まれても、その二つ目の鍵がなければログインできないため、不正アクセスを大きく防げます。

設定は各サービスのセキュリティ画面から行え、メールやSMSでコードを受け取る方法のほか、認証アプリを使う方法があります。ひと手間増えるように感じるかもしれませんが、ネットバンキングやメール、SNSなど大切なアカウントだけでも有効にしておく価値は十分にあります。パスワードの強化と二段階認証は、車の鍵と防犯ブザーのように、組み合わせてこそ安心が生まれます。

パスワードの安全な扱い方について、より詳しく学びたい方は、公的機関の情報も参考にしてみてください。たとえば情報処理推進機構(IPA)では、一般の利用者向けにわかりやすい注意喚起や対策をまとめています。最新の手口や対策を知っておくことが、自分の情報を守る一番の備えになります。

※本記事は一般的な情報提供を目的としています。手口や対策は変化するため、最新の情報は公的機関の公式サイトでご確認ください。